もしもSNSがなかったら。

小さい頃の記憶。

2人の兄と喧嘩をすると、口下手な私よりも、口が立つ兄たちの言い分を母は信じた。
弟と喧嘩をすると、あなたはお姉ちゃんなんだから我慢しなさい、と言われた。

ああ、この家の中で、私の本当の言葉は誰にも聞き入れてもらえないんだな、と、幼心に感じたのを憶えている。

 

小学生の頃、近所に住む女の子と3人でよく遊んでいた。

Aちゃんと一緒にいるときにBちゃんの話をしたり、Bちゃんと一緒にいるときにAちゃんの話をしたりしていたら、あるとき2人からこんなことを言われた。

「明日梨ちゃんは、どっちの味方なの?」

そんなことを言われても。私にはどちらとも、好きなところも嫌いなところもあって。
嘘をついたりとか、騙したりとか、そんなつもりはなかったのだけれど。
2人には、私が片方の前で本当のことを言って、もう片方の前で本当じゃないことを言っていると疑われたらしい。

ああ、疲れるなあ、と思った。

 

中学生になると、ついに表面上の人間関係すら取り繕えなくなってしまって、教室でひとりになった。

けれど、音楽とインターネットがあれば、私の世界は足りていた。

 

 

初めて我が家にパソコンがやってきたのはいつだっただろうか。

それまでも、ワープロを使って文章を書いたり、粗いドットで絵を描いたりするのが大好きでよく遊んでいたのだけれど、

父の書斎に現れたパソコンは、カラーの画面で、インターネットが繋がって、夢みたいな世界の広がりを感じた。

 

 

SNSとの最初の出会いは、GREEだったと思う。

自分の携帯電話を手に入れた中学3年生の頃、同じ漫画が好きで仲良くなった後輩に教えてもらって、仲の良い部活の同級生や後輩と繋がるようになった。

 

それから、インターネットを徘徊しているうちに出会ったニコッとタウンという可愛いコミュニティにハマったり、高校2年生くらいで始めたmixiで大学生の先輩たちと繋がったり。

中高一貫校に通っていて、部活の先輩たちが大好きだったので、卒業した先輩たちと繋がれるのがとても嬉しくて。

 

友達と一緒に運営していたモバスペのホームページも、自分で簡単なHTMLを書いて、それが可愛い画面になるのが楽しかった。

別の友達がYahooブログをやっていたので、影響された私もアメブロを始めた。

 

 

そうやって、インターネットのいろんな場所で、家の中では言えないこととか、教室の中では言えないこととか、少しずつ違う自分を出していた。

小さな世界で、大好きな人たちがくれるコメントはいつもあたたかかった。

 

 

高校3年生になると、好きなアニメのアカウントをフォローするためにTwitterを始めたり、大学生の先輩に誘われてfacebookを始めたり。

大学生になるとあっという間に、Twitter、facebook、そしてLINEが中心になった。

 

当時付き合っていた人と、LINEよりメールの方が慣れてるし楽しいよね、なんて言ってメールでのやりとりを続けていたのだけれど、いつからか、LINEの便利さに負けてしまった。

 

 

「芸術工学」というちょっと変わった大学での生活は、高校までの息苦しさが嘘だったみたいに楽しくて、目まぐるしくて、いくつもあったはずの私はひとつになっていった。

たまに帰省したときに、昔の私がひょっこり顔を出すくらい。

 

大学4年間は、そんな居心地の良いコミュニティの人たちと内輪で交流を深めるためだけにSNSを使っていたように思う。

Twitterは鍵垢で、facebookは友人向けの投稿のみ。

しかしあるとき事件が起きて、しばらく人間不信となり、ひとつのコミュニティに依存してしまうことの危うさを痛感した。

 

 

その少し前くらいから、音楽団体の「中の人」としてTwitterを運用するようになったのだけれど、外向きの投稿の仕方がわからずに随分苦戦したのを覚えている。

けれども、ひとつのツイートに悩む時間や、見た人からの反応が来た瞬間はとても楽しくて。

 

音楽のことを広めるために、SNSを使ってもっと面白いことができないだろうか。そんなヒントを探していたときにインターネットの海で見つけたのが、私の尊敬してやまない塩谷舞さん(@ciotan)。

 

 

しおたんさんと出会って、その活躍を追うようになって、私が数年間離れていた間にインターネット越しの世界はこんなにも面白くなっていたのかと気づかされた。

全力で、ときには悩みながらも楽しそうに、世の中に価値を生み出している素敵な方々の存在を知り、これからの社会で生きていく希望が湧いた。

 

そろそろ私も、そちら側の人間になっていこうと思う。

 

 

今になって思えば、ある障害のために生き苦しかった昔の私に逃げ場を作ってくれて、大学生活が一番楽しいと思っていた私にもっと面白い世界を教えてくれた、SNSという場所。

恩返しというわけでもないけれど、私にできることを少しずつ、ここから世の中に仕掛けていくんだ。

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